最終更新日2021.6.5
    OOCL DURBAN Kaohsing accident 高雄港STSクレーン倒壊事故


    速報/高雄港第70貨物船がクレーンに衝突!


    2021年6月3日、台湾の高雄港にて空船のコンテナ船のOOCL DURBANが、
    高雄港70号ふ頭のヤンミン・ターミナルに接岸中の
    YM CONSTANCY に衝突する事故が発生する。

    その後、OOCL DURBANの艦橋の右側とShip to Shore クレーンの先端が衝突し、
    押されたSTSクレーンが倒壊する。
    ※一般名称:STSクレーン = Ship to Shore Crane 又は Ship to Shore Gantry Crane

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    艦橋右側とブームが衝突。STSクレーンは右前に押されている。

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    右後方に転倒中。

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    STSクレーンが右後方にひっくり返るが先端が浅く引っかかったまま。
    これにより船の速度が落ちて停止。

    ※YM CONSTANCYは70号に接岸。
    ※OOCL DURBANは接触後にSTSクレーンと船橋が接触し
    STSクレーンを押し倒す。
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    ※この写真は68号の位置の様だが、写真が事故状況に近いので使用。
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    この倒壊事故により2人が閉じ込められて、他に一人が腕に軽傷を負う。

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    倒壊したSTSクレーンは右隣のSTSクレーンに接触。
    上記の動画再生リストの1番目をよく見ると、
    倒壊したSTSクレーンはYM CONSTANCYの舳先へ移動している。
    回避行動をとっていたが避けられなかった模様です。

    2機のSTSクレーンは台湾元で6億元、日本円にして約23億円となる。

    日本の場合、STSクレーンは地方行政か港湾局が維持管理する
    公共の財産、施設です。
    22列以上の大型船対応のSTSクレーンともなれば港湾荷役会社が
    1時間あたり30万円から40万円程度で借りて使用します。

    全てがそうだとは言い切れませんが一般にはそういうものです。
    台湾がどうかも分かりませんが、公共サービスが止まるという面では異常事態です。

    それなので港湾荷役会社が単独で自己都合の利益追求しかしない場合、
    公共のサービスとして不適切であるのでバッシングや
    顧客離れが発生します。南本牧とKGTT→Y2がその例です。
    (KGTTは私設コンテナターミナルだった。)


    STSクレーンやRTGは納入されても直ぐに使用できません。
    ワイヤーの張りの調整に数ヶ月から1年ほど掛かるそうです。
    国の気候ごとに金属の伸び縮みが違うのか、
    それとも何本ものワイヤーのテンション調整が難しいのか 
    調べて行きたいと思ってるところです。
    それはさておき復旧には多くの時間が必要となります。 

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    事故の原因は、OOCL DURBANが空船であり舵操作が難しかった事が疑われる。
    空船で通常のコンテナを積んだ状態よりも海面上に船体が上がっている状態と思われる。
    船体が浮き上がっているとスクリュープロペラが海面より上に1/3以上出てしまう。
    (バラストタンクの注水量や船ごとの特徴を加味しなければ断定はできない。)
    この状態での操船は非常に難しい。

    YM CONSTANCYは台湾メディアによると船体のチェックで
    航行に問題ないと診断されてすぐに航海に出ている。
    とはいっても、事故時に積んでたコンテナをおろしたら
    ドッグに入るのではないかと予想されます。

    コロナ禍で世界各地の港湾が機能を大幅に落とし、
    アンカーポイントにはコンテナ船に限らず多数の船舶が滞船しています。
    塩田では6月に入ってからのニュースで14日間のコンテナ船の待機がある様です。
    滞船が多く全体としては船が足りない形となっています。
    STSクレーンの倒壊によるヤンミンターミナルと高雄港の機能低下、
    また2隻の船の事故調査が入るのでしょうから、この時期のこの
    ニュースの印象は重いものとなります。

    人命が失われなかった事は不幸中の幸いかと思います。

    15位 高雄 TOP100 世界のコンテナターミナル2019
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    2020年6月の釜山新港でのSTSクレーンが倒壊する事故でも
    空のコンテナ船が減速しきれずに衝突している。
    この時、スクリュープロペラが海面上に大きく出ていた。
    逆推進をかけても、プロペラが水を掻く量が少ない。
    舵も効きにくくなる。
    タグボートの推進力では足りずに、タグボートも引きずられていた。

    高雄の事故の動画を確認しただけでは後方が見えないので原因を断定できないが、
    釜山新港のミラノブリッジと類似のケースが疑われる。
    台湾の引退したパイロットの見解では高い風速も考慮しているものの、
    風速が強いとしても考えにくしとしている。

    この考察は原因調査報告が出る事まではあくまでも推測の域を出ない。

    OOCL 公式サイト ニュースセンター


    2021年6月4日 OOCLダーバン事件に関する声明
    (5日に声明は出てなかったんだけど。7日に確認しました。)


    空船になる理由。

    軍艦、商船、漁師船、大型になるほど船のそこに付く藤壺や海藻などが燃費を落としていく。
    艦船は定期的にドッグに入り、船底に付いたフジツボなどを取り除く。
    また、他の箇所の防錆処理や故障個所の修理、定期典型項目のチェックなどをする必要がある。

    現在の大型のコンテナ船の場合、通常20~25ノットで航海をしている。
    スペック的にはもう少しでる船が多いが燃費を良くするために
    高速には航海しないのが一般的です。

    環境保全、サスティナビリティを謳い文句に以前より船足の遅い船が増えています。
    帆船ではないけれど風力を利用した風力船が注目されています。





    高雄港70号碼頭



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    70号ふ頭は構造的に垂直配置型のコンテナターミナル。
    自動化ターミナルか半自動化ターミナルの可能性がある。
    一つのコンテナ山の列にRMG(レールマウント式ガントリークレーン)が複数ある。

    飛島ふ頭 南側コンテナターミナル大井5号と同じように、
    列の前後ではなく列に沿って積み下ろしをしてる構造になっている。

    phase2 Vol.07 全自動港湾クレーン×ティーマイク




    水先人・パイロット 再生リスト





    再生リスト STSクレーンが倒壊する事故