最終更新日2020.6.14


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スーパー!メカニズム:シーズン2「ロサンゼルス港」

※無料会員で視聴可能


ロサンゼルス港

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サンペドロ湾に臨む港湾地区の内、西側のロサンゼルス市に属するのがロサンゼルス港。
東側はロング・ビーチ市に位置しロング・ビーチ港となる。
それぞれ港にポート・オーソリティが別にある。
現在は一個の港湾に見えてしまうが、別の市に存在した2つの港が繋がってしまったと見る方がいい。

この為、ロイズ・リストではコンテナ取扱量の統計が2つの港として別に出されている。 
ロイズリスト以外の統計では1つの港湾としてコンテナ取扱量が合算されている場合もある。
(日本の国土交通省のPDFや業界誌的なものでは1個になっているのをよく見る)

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2018年実績 TOP100世界のコンテナターミナル(Googleアース)
上図ではピンクに塗りつぶされてるのがロングビーチ港


マースク・アルファーク号
MAERSK ALFIRK
 

https://www.vesselfinder.com/vessels/MAERSK-ALFIRK-IMO-9342516-MMSI-565747000

Vessels Lover のブログ (アメブロ)

建造年 2007年
船籍 シンガポール
全長 337.6m
全幅   45.6m
コンテナ積載数 11,294TEU


APM Terminals
:ピア-400
Wiki APM Terminals(英語版)



APM Terminalsは船舶輸送の会社であるA・P・モラー・マースク社の別会社である。
港湾作業のターミナル運営を統括的に行うメガ・ターミナルの一種である。

港湾では世界的な常識としてジョイントベンチャー合同事業が一般的であった。
ギャング・マフィアや独占などの海運業の長い歴史の中の黒い弊害を払しょくする目的がある。

これを一社が統合的に事業運営を行う形をとるのがメガ・ターミナルである。

メガターミナルの運営会社にはドバイから世界各地に事業を広めたDPワールド、香港のハチソン、シンガポールのPSAインターナショナル、がある。
日本でもメガターミナルという呼称は存在するが、運営方式は合同事業やジョイントベンチャーの形である。





ターミナル島 日本人漁師村記念碑

ロサンゼルス港内には太平洋戦争時に強制収容された日系人の一部が戦前に住んでいた場所のあたりに漁師村の記念碑が建てられいる。


番組の要約と解説

ロサンゼルス港は面積30平方キロメートル。
年間800万個のコンテナの取扱量がある。
(ロイズリストでは2018年は17位で9,458,749 teu)
アメリカの輸入貨物の25%を取り扱う。
ピア-400はロサンゼルス港で最大のターミナルでAPM Terminalsが運営している。
一週間で20000個のコンテナを取り扱うために軍隊並みの厳密な計画が求められている。
マネージメントリソースセンターが指揮を執っている。

1959年に海上コンテナの取り扱いが始まる。
1994年には海だった海域の埋立が始まり、
2000年ごろにはピア-400がおおよそ現在の地形となる。
ピア-400は面積がおおよそ1.6平方キロ。

港湾の船舶のオペレーションはMARINE EXCHANGE ベテラン船長たちと沿岸警備隊がコントロールする。沿岸警備隊員とベテラン船長(番組中の名称は「退役した大佐たち」)がレーダーと無線を駆使して航空管制の様な業務を行う。そして13人の水先人を派遣する。
港から40キロ圏内に入った船舶はここに連絡してくる。

英語でキャプテンは、海軍と沿岸警備隊では大佐を意味する。
退役軍人はVeteransとなる。軍隊以外で船長を指す場合、キャプテンを多く用いる。 
番組中で退役した大佐と訳されているが、これはベテラン・キャプテンを誤訳したものと思います。
番組内での登場するパイロットは、それ以前はタグボートの船長を長年務めていた。

水先人(パイロット) 
水先案内人

ロサンゼルス港では300トン級を上回る船舶には派遣させる決まりとなっている。
彼らは選りすぐりの船長経験者たちでロサンゼルス港を知り尽くしている。
各船の船長は外洋航海のプロではあるが、世界中の港湾に関しては各港のパイロットに操船を一任する。
船底までが深い大型船の場合、海底の地形に接触する場合がある。
マースクアルファークは14m。
パイロットは港湾の外で待機しているコンテナ船に乗船する。
外洋では天候によっては波が高く乗船は難しくなる。

港湾荷役

アルファーク号に今回は8基のSTSクレーン(Ship To Shoreガントリークレーン)を使用する。
北米では一隻に8基ものクレーンを扱えるのはこのターミナルのみである。

ギャング(英語では人や物を問わずに集団を示す言葉)といわれるチームが荷役を行う。
(「集団・群れ」の意味を持つ単語である。多国籍の港湾・船舶関係で使われる用語として、荷役作業者を仕事に振り向ける口数(くちすう)の単位をギャングと呼ぶ。)
ギャングは番組内では基本的に20人ほどで成り立っている。

東京港、横浜港ではSTSクレーン1基に対してRTG(ラバータイヤードガントリークレーン、通称テナートランスファークレーンとも呼ばれる)2基、構内車(構内作業用のセミトレーラーでハスラー、マーシャルなどともいう)が4,5台などの単位となる。
番組内の様子からはトップローダーもチームに含まれていそう。
単純計算では:STSクレーン8基 x 1ギャング20人 = 160人
鉄道振替の為のチームも数人から数十人いるものと思われます。

ギャングはフォアマン(職長)の指示でクレーンオペレーターやトラクター(牽引車)の運転手が動いている。
スイングマンはSTSクレーンのスプレッダー(伸縮機:コンテナを掴むユニット)がトレーラーにコンテナを積み下ろしする現場に居り、コンテナのツイストロック(この場合はコネクティング・コーンあるいはスタッキング・コーン)を外す補助作業を行う。
一隻の荷役で同時に働くギャングは200人。
1隻の甲板作業員や他の作業員の全体の延べ人数では1000人くらいになることもある。

ロサンゼルス港では港湾労働者(LONGSHOREMAN)を一括して強力な組合である
国際倉庫労働組合(ILWU)が港湾労働者の雇用を全面的に管理し派遣している。
番組内の週末、スーパーボールの行われる為にターミナル側では
質の高い労働者が集まるか不安視していた。

港湾労働者は派遣センター(LONGSHOREMEN`S DISPATCH HALL)に夜明けとともにあつまり指示を受け取る。
彼らは毎朝6時にセンターに来るまでどこでどんな仕事をするかわからず、仕事があるかもわからない。
(UTRの乗るかスイングマンをするか、どの職務の専属というものはないようです。)
人数が足りない場合はILWUの組合員ではない非組合員に仕事が回される。
非組合員が組合員人る為には厳しいテストがある。
ドラッグ、敏捷性、筆記試験などがあり競争率は高い。
非組合員が組合員になるとき、それまでの労働も評価されて労働時間が長い方が評価は高くなり、
経験が7年程度は必要となる。

パイロットの嚮導(きょうどう)でコンテナ船は接岸する。
接岸すると船からもやい(舫い・ロープ)が投げられ岸壁のボラードに結ばれ係留される。
もやい綱が切れた時の破壊力は凄まじい。



接岸と係留が済むと税関職員が乗り込み各種書類のチェックをする。



アルファークの場合、コンテナは下3段をラッシング・ロッドで固定し、
その上のコンテナはコネクティング・コーンでつながっている。
  • コネクティング・コーンは約9kg
  • ラッシング・ロッドは約14kg
ラッシング・ロッドの付け外しは危険が大きい。
持ち上げた時に振られて海に落下することもあり、
横浜港で働いていた後輩はその作業は絶対いやだと言っていました。




UTRUtility Tractor Rigユーティリティートラクターリグ
UTRの他の呼称:ヤードゴート(Yard Goats、ヤードの山羊)、ハスラー(Hustler)、スクーター(scooter 帆走船)。

海上コンテナを船とヤードの間で輸送するセミ・トレーラー。
牽引車はトラクターで、非牽引車をトレーラーと云う。

ギャング単位から見て、他の港湾では構内車をマーシャルと呼ぶ場合もある。


トップローダー

番組内でのこの車両の積載量は37トン程度 。

横浜港と東京港では番組内のトップローダーと呼ばれる車両はトップリフターと呼ばれることが多い。

そのトップローダーと呼ばれる車両はコンテナをトレーラーに積み下ろししたりコンテナを積み上げる車両で、伸縮機(スプレッダー)にツイスト装置が4つ付いて上から吊るタイプのもは実入りコンテナを取り扱う事が出来る。メーカーによって呼称はまちまちだが、車両後部にからマストが前に向かって伸びているものはリーチスタッカーと呼ばれる。一般的なフォークリフトと同じように車両全部にマストがついている場合はトップリフターと呼ばれる。
ツイスト装置が2か所で持ち上げるものはサイドリフターと呼ばれ、空バンを取り扱う(通称トンボ)
。 

この様な車両はメーカーの登録商標や構造によって呼称がまちまちであるので、
広範囲にはスプレッダーの付いたフォークリフトという事で
スプレッダーフォークと呼ぶ。



スタッキング・コーン
stack 積み重ね
stacking cone
コンテナ積載用スタッキングコーン

またはコネクティング・コーン
番組集では別に使われている用語だが、実質的に同じものを指している。


モーダルシフト

トラック輸送の30%のコスト。
番組内のアルファークから降ろされた4500個のコンテナの内、1200個が列車で港から輸送される。

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BNSF鉄道 wiki
名前は社名変更前のバーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道に由来する。

列車への2段積み = ダブルスタックカー

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トレンチと呼ばれる溝で運ばれていく。

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2018年実績 TOP100世界のコンテナターミナル(Googleアース)



番組の最後に港湾内の警備に触れる。


関連番組

驚異の鉄道~不可能への挑戦~ シーズン2 大都市の鉄道網

有料会員向けのコンテンツ

ハンブルグ港のCTBの港湾設備と荷役の様子が取材されている。
CTBは自動化ターミナルである様です。
RMG(レールマウント・ガントリークレーン)と鉄道への乗せ換えなど。

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関連番組

ザ・海洋メガビルダー メガ造船所

無料会員の閲覧可能

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ロサンゼルス港のこの番組を見る前に、某Johnさんとハンブルグ港のCTBの話をしていました。
自動化ターミナルと比べると、ロサンゼルスのAPMターミナルはかなり古臭く感じます。
横浜の南本牧がNHKの番組で紹介されたときもこの番組も、STSクレーンのオペレーターの優秀さをピックアップしています。
この番組内でも言っている通り、個人スキルの差が大きくなるのと、早さを求めるあまりに事故の発生が伴ってしまいます。
精神論に頼った傾向で、マースクは古臭いなぁと思いました。

同じロサンゼルス港でもMOL(TraPac)の方では自動化ターミナルが導入されています。



Yusen Terminals LLC(NYK)ではRTGは主力ではない。



ロング・ビーチ港LBCT ピア-EはOOCL(コスコ)で、ここの垂直配置型RMGレーンは洋山深水港のシステム開発の元になっている。



オランダのロッテルダム郊外にあるマースフラクテ2は自動化ターミナルを設置している。



こういった事を踏まえて見ると、いささか古さが痛いターミナルだなと思いました。
東京横浜の既存ターミナルと代り映えがしません。
もう少しモーダルシフトの所を詳しくやってほしかったと思います。


2MアライアンスMSCA・P・モラー・マースクですが、大型船舶の導入のトップです。
私の考えでは航空機旅客輸送の様に、いずれジャンボから中型機に移行した様に海運もなるのじゃないかと思います。

現在のCOVID-19による中国からの生産拠点の移転はそのあと押しとなる可能性があり、時期が早まるかもしれません。
アジアとアメリカ大陸のハブ港、中東とヨーロッパのハブ港、そのハブ港間の輸送では大型船は有益です。

価値観の多様化と生産国の移り変わりで、同じ商品の大量生産と大量輸送の需要は低まっていく。
この場合、ハブ港以外の港に大型船を寄港させるメリットが少ない。

SITCのサービスは多航路と多頻度を売りとしている。
中型船小型船による本数の多さと寄港地のバリエーションの多さが強みです。
日本の港湾は世界各国に比べて多すぎる。また巨大なハブ港の建設が行われていない。

将来的にもハブ港の建設は難しい。多少のトランジットは必要だが、アジア各国のハブ港から地位を奪うのは既に至難の業だと言える。

そうした事情と日本特有の港の多さを鑑みれば、SITCの行うサービスのようなものがより需要を増していくというのが私の見解です。





日本には港湾が多すぎると書いた。
それが悪い事だとは言い切れない。

港湾建設に国家の資金や人員のリソースが分散される。
収益率の悪い港湾への投資も増えることになる。
これは他国の巨大ターミナル建造と比べて不利な条件に思える。

日本では海運の歴史が長い。
1185年、源平合戦の壇ノ浦の戦いでは海戦が行われた。

江戸時代に入ると北前船が隆盛していく。

日本では海運は経済の要であり、各地域の経済に与える影響も大きい。
グローバリズムの中で地域経済の衰退は大きな問題となる。
国家戦略として地域経済を切り捨てるという事になると、日本の経済システムは大きな変容を起こす。
つまり、地方から人がいなくなり、一部の地域への人口の集中が加速する。

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ドバイは元は何もない砂漠だ。
中東なので石油で発展したと誤解している人も多いと思うが、
都市建設で金融と運輸を発展させることで現在の姿になってきた。

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シンガポールの場合は、非常に少ない国土と海運の要衝である地理的な条件の元に港湾を発展させた。

2018年実績 TOP100世界のコンテナターミナル(Googleアース) 

ドバイもシンガポールも共に30年から40年くらい先の未来を見込んで計画を立てている。
どこかにある成功したビジネスモデルの追随は行っていない。
そこにはトライ&エラーが伴っているはずだ。

日本では第一に成功したビジネスモデルの追従と従来ステムの改良発展に重点が置かれる。
またミスした自分津に対して終身雇用や社会構造の中でとても甘い処置がとられる。
男性同士の恋愛感情でもあるのではないかと思うくらいに特定の人物には甘い。
「○○君もこの失敗で学んだはずだから、次はもっと良くなる」として
無能な人物は出世するが、有能な人物はその尻ぬぐいをして消えていく。
これはセカンドチャンスを与えるのとは全く意味が違う。
有能でコミュニケーション能力高い人材の中ではそれは起こらず、
コミュニケーション能力の低い意固地で幼い人間の中で起こるからだ。

日本の政治では目先の利益の追求が求められている。
国家官僚は政治家に気に入られないと出世できない。
よって、政治と行政は分立していない。
2020年は黒川弘務の件で検察与党の癒着が明らかになった。
有力議員であれば立件されないという政治腐敗が起こっている。
世襲議員と縁故採用と癒着は計画立案と実行には大きな障害となる。

森友学園問題での佐川宣寿国会虚偽答弁もまだ記憶に新しい。

この様な状況ではもはや昔の大政治家という人々の出現は期待できない。
長期的な展望に立った開発が難しいという事になる。

自らの状況を整理して将来像を見本の無い状態で
一から構築していくという事が出来ない日本人の組織構造は
30~40年先を見据えた開発を行う事を妨げている。

一見して小さい港が多く、リソースの集中とハブ港の建設という
世界的な流行を追いかけることが「最適解」だと思うのは短絡的だ。
日本にはそれを行う土壌が無い。

日本は日本の歴史と地域経済などの特徴を活かせる港湾開発が必要です。

横浜港の問題として耳に入ってくる事は、接岸料金の高さだ。
具体的な金額は知りません。東京港の方が安いとも聞きます。 
横浜港ではBC埠頭とCD間の埠頭基部の埋め立てと再整備と新埠頭の建設事業が進行しています。

接岸料金が高いから本船作業を急ぐ。結果、陸側へのサービスが低下する。
接岸料金が高いから大型船でコストを下げる腹積りになると各事業ではうたわれる。
荷物が各方面を向いていれば、航路がまとまらない。
まとまるまで港に保管していれば、配送時間は増大する。
ハブ港としての機能が不十分な状態でトランジットを増やせば荷役に必要な時間が増大する。
陸側はその港湾の利用を控える様になる。
韓国、中国、シンガポールのハブ港はローカル港と別に独立している。

こうした事を考えると東京横浜で第一にやらなければならないことは
接岸料金の引き下げと、港湾設備の活用だろう。
南本牧などは遊んでいるSTSクレーンとRTGがないように、
地上要員を含めた人員の大幅な増員で東京港の機能の一部を引き受ける必要があるだろう。

現在行われている投資とその目標は昭和の計画の延長線上にしかなく、
時代錯誤が甚だしいと思います。