この頃SNSでよく話題に見る割り込み運転について。
トラックドライバーにとって急な割り込みだと感じない割り込み方について書いてみます。

前提として商品の破損とはどういうものか。

以前勤めていた会社の同僚は大型で深夜便のカゴ車で積み下ろしをしていた。
幾度かカゴ車をプラットホームから落っことすとか はあった。
それで高価な電機商品をダメにして100万円位弁済する事もあったという。

そんな彼が飲料の繁忙期に増車になった時に応援で行くことになった。
一切やり方の説明を受けず行ったらしい。
パレット積みの商材は通常は商材の載ったパレットの間に
「コンパネ」を挟んでいく。
コンパネは木の板やウレタンの3〜5センチの厚みのパッドであったりする。

飲料の場合は商材がパレットの端っこから数センチ内側に積み上げていく。
この飲料をパレットで積み上げていくと、商材と商材の間隔が10センチ前後空いてしまう。
この商材間の空間に発泡ウレタンの半畳ほどのパッドを二枚ほど入れれば、
運行中の急ブレーキや発進時に商材が前後にズレてるぶつかる事は無い。
彼はそのコンパネを入れずに走り出して、急ブレーキとは言えないが
少し強めにブレーキをかけて赤信号で止まる。

その刹那、一斉に缶入りジュースが前に移動する。
缶は凹んでしまう。
痛んだ缶、凹んだ缶は箱入りの中に一個でもあればメーカーに対して
弁済しなければならない。
箱に些細な傷が付いてるだけでもダメだ。
積荷は全額弁済となり、200万円程の損害となる。

余談だけどそこのメーカーの配送センターは
出荷時にメーカー側が付けた傷をごまかして
運送会社に責任を負わせて弁済させる事案がよくあったので、
私はそこの会社もブランドも大嫌いだ。


2トンでも4トンでも大型でも、トラックドライバーは前に割り込まれて
急ブレーキとなった時にこうした商材の破損が起こる事を怖れる。
例にあげた彼の場合は荷積みに問題はあった。
上長は「常識が無いのか!?」と激怒したらしいが、
明らかに教育してなかったアンタの所為だろうと私は思った。
運行管理も無理なローテーションで配車してなかったんだろうか、
そういう疑問もある。元のそそっかしい点もあるのにね。
私自身もそそっかしい所はあるから自分の事みたいに考える。

誰かが怒ってるのを見ると、その反対の事が正しい様に見える。
若いうちは特にそうだろう。
そして解答なく、ただ責めているのを見て、
さてじゃあどうすれば良いのかと思う事も良くある。

割り込みや合流が無理が無い状態というのはどういう事だろうか。
普通自動車しか運転しない人は迷うだろう。
私の場合はどうしているかを書きます。

セミトレーラの一種である海コン屋の場合、通常連結状態で前長は16.5メートル位ある。
トラクタだけで走る事も多い。この海コン屋も車線変更を行う。

何に気をつけるかというと、
自分の後ろに対して割り込んでいく。
右車線を走行中に左車線に移りたいなら、
ウインカーを出し「自分の後方に車両」に対して合図を出す。

合図は3秒前にとか言われるが、3秒にこだわる必要はない。
後続車の中に車間を開けて入れてくれる意思表示を確認できるのまで
1分でも2分でもウインカーを出していれば良い。
多くの場合では同じプロのドライバーである業務車に対してアピールする。
トラックが譲ってくれる場合もあれば、普通車が譲ってくれる場合ある。

後続の運転手の前で出してれば、仮に分流手前で強引になったとしても
前方に見えているなら十分な対応が出来る。
そうは言っても、そうならないように気をつけて多くの人は
運行しているでしょう。

では、危険を伴う割り込み方法。
後方から割り込む目標を探し、割り込む直前にハンドル操作とウインカーを同時に行う場合だ。
ウインカーを伴わずハンドル操作と割り込み時に急ブレーキをかける場合も良く散見する。
私が港まで来る時にそういう場面をよく見るのは
環状2号内回りの屏風が浦のトンネルの前後だ。



後ろから来た車両が車間距離を開けてる車両の前方に急ブレーキで割り込む事をよく見るし、
やられて不愉快な事も多い。
割り込まれる側も突然安全な車間距離と制動距離が消失してしまう。
従って割り込まれた側も急ブレーキをかける必要に迫られる。

そういう場所なら気構えは出来るが右後方を常に警戒して
ウインカーも出さずに迫って来た車両が通過車両で先の丁字路を
右折する為に通り過ぎるのか、ウインカーを出さずに前方に向かって
割り込みをしようと企んでいるのか判断し続けるのは無理だ。
せめて、前方に割り込むとしてもウインカーは出して来てほしい。
心に余裕が有れば丁字路左折の左折レーンに入るのを諦めて右折し、
357でUターンしたって時間は対して変わらないんだから。

プロのドライバーは前に入られる事が不快なのでは無い。
急ブレーキの操作になる事が嫌なのだ。
十分な合図を出して緩やかに動作すれば文句を言う奴は少ない。
減速中の割り込まれる側の列に、覚悟を決めて急ブレーキで割り込んで来る方は
心の準備もあってその操作を行えるだろうが、
あと20メートル以内で止まれると思ってる所に急ブレーキで入って来たやつのせいで
10メートル以内で止まる行為に変更する側は焦ってしまう。

普通自動車を運転してるとしてもペナルティを科せられたり修理に時間を取られたり、
同乗者が怪我をしたり飲み物が撒き散らされたりすれば嫌なものです。
お互い気をつけたいものです。

どうしようもない自己中も居るから全員とは言わないけど、
予告して十分な余裕を作ってくれれば多くの場合は問題ないとしておきます。

私の属する海コン屋やダンプカーの運転手では
意図して煽り運転や幅寄せをしてるのもよく見かける。
そういった事には警鐘をこれからも鳴らしていきたい。


セミトレーラはずうたいがデカくて見落とす事もある。
もし、セミトレーラが総重量30トンを超えていたら、
ブレーキが間に合わずに割り込み車に追突すれば、
その車の運転手の身体に深刻なダメージを与える場合もあるだろう。
道交法上、強制保険を使うという前提でそういう追突でも
追突した方にペナルティが課せられる恐れがある。
「当たり屋」に事故を作られる様なものだ。

重くて加速度の付いた物体が減速傾向であるとはいえ、
前の車に衝突するとはどういう事か。例えるなら、
人がポテトチップスの袋に向かって
手を地面につけて衝撃を抑えつつも袋の真上に
倒れこむ様なものだ。


完全なる人間、完全なる運転手なんて存在しない。
お互い無茶な操作になる事もある。
「分かっていないからやっている」事なら
知識の共有を広げて行けば、そういった事案は減る。

たかだか日銭を稼ぐ仕事に命までかける必要はない。
不意な事故は仕方ないとしても、学んで減らせる事故は減らしていきましょう。
私自身、今日も気をつけたいとは思うが完全人じゃない。
なので、そういう話は目標だ。
私も気をつけるとします。
交通社会はいつ誰が加害者になるか被害者になるか分からない。
腹をたてる様な事案があっても寛容さを持っていたいものだけど、
それが難しいんだよね。


昨日の朝は、総重量が20トンくらいで雨が降っていた。
シャーシのブレーキの効きが甘い。
だから制動距離が多く必要なので車間距離を多く取って走行していた。
ブレーキが効かない状態だから車間距離を空けてるのに
急ブレーキで普通自動車やダンプカーが割り込んでくる。
ブレーキが効かないのに急ブレーキをフマされる。
割り込むのが嫌だから車間距離を詰める事も出来ない。
ブレーキが効かないんだから。
巡航速度を落とさざるを得ない。
結果、渋滞を引き起こしていく。

全く悲しくなりますよ。