私は最近アマゾンプライムの会員になった。
折角なんで、プライムビデオも見ないと勿体無い。
プライム会員は会員対象の年会費の中で追加料金なしで
色々見られる映画やTV番組がそこそこある。

その中から幾つかピックアップしました。
同時にそれらの映画の観想と、それから派生した戦争評を書きます。




バンド・オブ・ブラザース ブルーレイ コンプリート・ボックス(6枚組) [Blu-ray]
ダミアン・ルイス
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-05-07






バンド・オブ・ブラザーズはトム・ハンクスが
プライベートライアンの後に製作サイドに入って作られた。
製作費1億2千万ドル、今のレートで133億円くらい掛かっている。
TV番組というと安っぽい感じなるけど、
これは見れば分かるようにプライベートライアンと同じクオリティになっている。

色んな語り口が見た人によってあるだろう。
私が特に注目したのは、「組織論」だ。
組織論がそのままテーマの話も中にはある。

ドイツ軍が1939年9月のポーランド侵攻の時点で150万人くらいが動員されたそうです。
この西部戦線の連合軍のアメリカ軍は、Wikipediaによると
「1944年5月当時、上陸作戦に備えてイギリス国内に駐留したアメリカ兵は約150万人に上った」
そうだ。

この人数の人間が動くというのは、ちょっとした行政単位だ。
100万都市の人間が一斉にイギリスに行って、
その内の何割かが上陸作戦に参加する。
食事は毎日必要だし、弾薬も必要だ。

単純に考えて見て、毎日150万人に食事を提供する
と考えるだけでも容易なことじゃない。
実のところ、戦車とか飛行機とか弾薬とか、
そんな事よりも食事や嗜好品を与える事が
「人間を生かし、行軍させる」事には大切だ。
蛮勇を誇る軍隊なんてことばかりが常に言われてきたが
そんな事は実はあまり重要なことじゃない。

もちろん150万人がいっせいにフランスに行ったりはしない。
後方基地や兵站の要因は戦闘員よりはおおかろうから、
それを間引いて考える必要はある。
でも作戦ごとに戦線には2万人や3万人は行くのだから
その小さい単位で考えても現在の企業なんてレベルでは考えられない
組織運営能力が必要になる。

イージス艦やヘリ空母を購入するとか優秀な戦闘機があったら
1局面は有利かもしれないけど、制圧するのは難しい。
戦争とは組織運営と経済問題だ。

もし、パールハーバーの奇襲やミッドウェイ海戦で
島の占領をやっていたらどうだっただろうか?
日本は日露戦争の日本海海戦のように、
艦隊同士の戦に勝つだけの美学に囚われていた。
(ミッドウェイの場合は海戦と上陸作戦が中途半端だった)

今のネトウヨが戦闘機や戦闘機の戦力差云々で
隣国との戦争を語ることが多いのだが、
制圧しない限り終わらないということがすっぽり抜けている。
そして日本は制圧行動を行えないとなれば改憲を安易に語るんだが、
日本の軍事費は原状でも世界でトップクラスだ。
軍事費は今以上に膨らみ、国家経営を危機に追い込むだろう。
まるで明治から昭和を繰り返すようなものだ。

制圧部隊はアメリカの場合は海兵隊が海軍や陸軍とは別にある。
日本帝国海軍は陸戦隊が船の乗員と兼任の様な方で少々居る程度。
その辺の考え方や組織運用方法の違いも、レーダー、戦闘機、空母、
暗号解読などの新兵器開発以上に差が大きかっただろう。
組織運営論が決定的に違っていた。

アメリカは前線の兵隊にチョコレートやタバコを沢山送っている。
日本のゼロ戦が2000馬力なら、4000馬力のエンジンを開発して
1機対2機の戦闘をするために飛行機を増産した。


日本が重んじるのは精神論だ

日本軍の場合、勇猛を誇った連隊、或いは師団の基準と云うのは
戦死や戦病死の死亡者数が多いか少ないかで決する。

たった一つしかない人間の命を万歳突撃で沢山散らせた指揮官というのが
優秀な指揮官と云うことになる。

こんにち、ヒーローと云ったら無敵や不死身が売りで、
ワンマンアーミーなんていうのが思い浮かぶ。
超人ヒーローは傷ついても、絶対に最後は手足も失わずに勝つんだ。

だけど、戦争と云うのは違う。優秀な兵隊は真っ先に銃弾に倒れる。
砲弾で手足を失い、はらわたを撒き散らし、遺体はウジだらけになって
死んでようやく勲章を貰え昇進する。
生還したら年金はもらえないし、良い事はなかったんだ。

ヨーロッパの戦いというのは、日本の精神論ばかりを言うのに比べれば
ジェントルな部分を感じる。だって、ドイツは連合軍がドイツ国内に入った後に
降伏するのに60万人が投降してきたなんて事がおこっている。

だから組織論とは何かという問いをテーマに出来るように思う。







ザ・パシフィック コンプリート・ボックス(5枚組) [Blu-ray]
ジェームズ・バッジ・デール
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-11-03




ザ・パシフィックはバンド・オブ・ブラザーズと同じように作られた作品。
舞台は太平洋戦争。
戦争映画と云うよりも、「スプラッターホラー」と評したほうが適切かもしれない。

地獄絵図である。


日本軍からガダルカナルを奪取し防衛するところから主人公の兵士達が参戦する。

ガダルカナルの奪取後は近くの島にキャンプが出来上がる。
その後の連合軍の飛び石作戦で戦略的に意味の大きい島だけを
攻略し、ラバウルみたいな大拠点の奪取は消極的に
オーストラリア方面から北上していく。

日本軍は全滅するまで戦うのがノモンハン事件以降にできた
生きて虜囚の辱めを受けず」の伝統をまもり玉砕するまで戦う。
国体の護持の為に兵士達は死んでいく

アメリカ海兵隊から見た日本人なんだけど、
ゾンビ映画のゾンビのようなヤラレ役とはちょっと違う。
今日、アメリカを苦しめた日本人兵士に対する
畏敬の念が含まれているように思える。

うがった見方をすれば武士道だ。
敗残の将を罵倒してたら、弱い奴に勝ったなら
勝つのが当たり前みたいに感じる。
計り知れない強敵に打ち勝ったとした方が、
勝利は寄り大きな評価を得る。

でも実際、PTSDを発祥し社会復帰が難しくなった兵隊は大勢居たようだ。
日本の兵卒達は強敵だったのだ。



それはこの作品の前に公開された
クリントイーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」でも同じだった。


ゾンビとは書いたけど、戦死した戦友の無数の死体が倒れている中にひそみ
夜中にアメリカ兵を襲う日本兵もいたそうだ。
ゾンビ映画と同じで死体が起き上がって襲ってくるのだ。
そんな事を思いながらこの2つの作品を見ていると、
心的外傷になりかねない。

手榴弾を抱えて自決した後の死体のリアリティだとか、
まあちょっと書くのを控えたいような状態の映像が満載で
年齢制限が必要だろうと思う。



昨夜、友人が誘ってきて深夜のドライブに行ってきた。
そして太平洋戦争のレイヤーを見せながらこれらの話をしていた。

彼は何故にガダルカナルになんて行ったか意味がわからないという。
日本の主な占領地から大分離れている小さなしまだしね。

勿論、それぞれのことは知ってるけど繋がりわからない。
私も同じ事はある。一度読んだりテレビでみて
その時は判った気になるんだけど、その内数年で忘れてしまう。
だからラバウルだとか言われればなんとなくイメージはわく。
でも繋がりが分からない。

そういう人のニーズを満たすマップがこれだ。



まずトラック諸島。

なんでそんな僻地に軍艦の停泊地を作ったか意味分からないという。
太平洋の制海権を得るのに、アメリカはハワイに基地を作っていたように
日本はトラック諸島に基地を作った。
マップを見ると分かりやすいが、南側にアメリカと
東オーストラリアの海運航路がある。
その途中にはイギリス領やアメリカ領の島々がある。

日本はアメリカと開戦する前から「経済制裁」を受けていた。
今日もアメリカは経済制裁を常套手段としている。
中東や近所の国にやってるよね。

日本は石油を輸入できなくなって困ったから
インドネシアの油田が欲しかった。

南方に進出したのは石油などの資源が欲しかったのであって、
インドネシアからニューギニアまでを制圧できてれば当面はよかった。

連合軍がオーストラリアから攻めて来る。
そこで日本はオーストラリアを制圧するのに、まずニューギニアの連合軍の
前進基地のあるポートモレスビーを制圧したかった。

しかし、ミッドウェイで空母を4隻も沈められてしまう。
その少し前の珊瑚海海戦でも空母を失う。
ニューギニアからオーストラリアに侵攻していくのに必要な空母を失ってしまった。

そしてニューギニアのポートモレスビーから空爆されたり
トラック諸島を襲われるのは適わない。
敵艦隊が制海権を抑えてしまうと占領地域の防衛や本土への資源輸送が危うくなる。

そういうわけで空母がなくなってしまった穴埋めに、何処かの島に地上航空基地が欲しくなる。
それでガダルカナルを制圧し航空基地を作っていたらアメリカ海軍が襲ってきた。

これがミッドウェイの次の負け戦だ。
このニューギニアからソロモン諸島にかけての珊瑚海周辺を海上封鎖できずに
オーストラリアから連合軍がジャンジャン攻めて来る突破口となってしまった。

日本は南方に進出するのに植民地の宗主国からの開放や独立を
後付の理由に持ってきたけど、単に言い訳だから。
尤もらしい事をいって自己の正当化をはかっているが
資源が欲しくて次の宗主国になろうと侵略していった、と私は評している。
満州国や朝鮮をみればそれは分かるし、
ビルマやインドネシアではなかなか独立を認めなかった。
日本軍は最初しか歓迎されなかった。




現在の私達と戦争の影


論理のすり替えや大義名分とか、今のネット社会の書き込みでもよく見るし
それは週刊誌で誰かをバッシングする昭和からの伝統でも同じだし
ブラック企業なんていわれてる組織の馬鹿な社員や上司、経営者とも重なって見る。

各事件の問題人物を見てるとコミュ障の片鱗が見える。
例えば辻政信がそうだ。収監された元IT社長や匿名掲示板の管理人、
彼等とおなじだろ。元IT社長の社員に対する暴言や、
インタビューの時に「儲かりますから」以外の話の展開が何も出来ない感じ。
組織の内部では生殺与奪の権利をちらつかせて怒鳴り暴論を吐いて
人を縛ることは出来ても、甘えの利かない赤の他人と論議を重ねるとなると
決まったフレーズを繰り返すだけ。
私から見ると、パチンコの設け話をしているワンパターンな人と全く同じに見える。
野球の球団を買って、その後スポーツ振興はどうなるというのはその元IT社長は
答えられずに儲かるから、儲かるからと繰り返していたのを未だに忘れない。

宇宙旅行の会社を作る理由も儲かるからであって、夢とかロマンそういう話は出てこない。

ロケット開発の場合、ロケットエンジンなんて制御できないものは何十個も作って、
たまたまうまく行った設計をよく分からないけど
爆発しないから使っていこうというようなものだ。

だからソビエトのロケットなんて束ねたような格好をしている。
大出力のたった1個のエンジンを第一段階用に作れなかった。
成功した中型エンジンを何個も束ねることでデカイロケットを作った。
そういうことを考えると、ロケットベンチャーをやってる会社に
解析して科学の力で省コストで儲かる為に開発しろなんて言ってたら
成功するようには思えないな。
湯水のようにお金を注ぎ込んで何十個も試作ロケットエンジンを作り
その内一個か2個か上手くうまく行ったのを使っていく、
それが宇宙開発のように思う。

アメリカもソ連も国家予算を散々使って、ミサイル開発やロケット開発をやって
やっとその財産が今残っているという意味を考えた方がいいと思う。

この映画の中で、ポツダム宣言を日本が受諾すると連絡した後に
アメリカからの返信文の中の「subject to」を傍受した
大本営の参謀達が描かれる。

政府では外交官が英語はべらべらにしゃべれて悪意無く受け取るが、
電文を勝手に傍受してた若い陸軍参謀たちは英語の分厚い辞書を
見ながら隷属するのだと受け取る。
日本の皇軍が鬼畜米英に服従するのが耐えられない!となって
226事件の様なクーデーターを起こそうとする。

悪くすれば本土決戦、女子供も竹やりで機関銃の前にバンザイ突撃して、
日本はソ連とアメリカに分割占領されて滅んでいたかもしれない。
彼らは徹底抗戦しようと最後まで天皇の意思を無視して
解釈を変えてやろうとしていた。

陸軍省と海軍省という省庁があったけど、実質的に軍のトップは
その当時参謀会議だったといってもいい。
そこに英文を辞書をひいて翻訳する詰め込みがた頭でっかちで
ヒステリーの塊の詰め込み型トップエリートしか居なかった。

要するに英語が喋れる駐在武官経験者や実務経験者が居なかった。
実務が分からない秀才の見せ掛けのキャリアを積んできた将校、
将軍たちが理由もよく分からない誰かが言い始めた
一見正しいようなスローガンを繰り返し喚いて国を動かしていた。

それが日本だったと思う。
それは私の実生活の範囲でもよくみるから、そう思わざるを得ない。
映画を作ってきた人達もきっと、自分の身の回りの
あの人やこの人をモデルに造ってきたんじゃないかな。

先日、スルガ銀行の不正貸付により経営者が代わった。
ああいう組織内のおかしな空気って、決して珍しいことじゃない事だと思う。
零細企業では規模が小さいだけで誰かに我慢をさせ続けて
なんとか凌いで居るのが多くあろうと思う。
会社の規模が大きくなると三菱自動車や神戸製鋼の様なことになってしまう。

私にはそう思えてならない。