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Blog 箱根でトレーラーが転落、化学物質1万6000リットルが流出か?須雲川ではアユ数十匹が死ぬ。

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事業用自動車事故調査報告書
〔重要調査対象事故〕

トラクタ・コンテナセミトレーラの転落事故(神奈川県足柄下郡箱根町)
平成28年12月7日
事業用自動車事故調査委員会
1497871663309
本報告書の調査は、事業用自動車の事故について、事業用自動車事故調
査委員会により、事業用自動車事故及び事故に伴い発生した被害の原因を
調査・分析し、事故の防止と被害の軽減に寄与することを目的として行わ
れたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

事業用自動車事故調査委員会

委員長 酒井 一博
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《参考》
本報告書に用いる分析・検討結果を表す用語の取扱いについて
① 断定できる場合
・・・「認められる」
② 断定できないが、ほぼ間違いない場合
・・・「推定される」
③ 可能性が高い場合
・・・「考えられる」
④ 可能性がある場合
・・・「可能性が考えられる」
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事業用自動車事故調査報告書
(重要調査対象事故)
調査番号 :1563204
車 両 :トラクタ・コンテナセミトレーラ
事故の種類:転落事故
発生日時 :平成27 年6 月29 日 2 時57 分頃
発生場所 :神奈川県足柄下郡箱根町 国道1 号(箱根新道)
平成28 年12 月7 日
事業用自動車事故調査委員会
委員長 酒 井 一 博
委 員 安 部 誠 治
委 員 今 井 猛 嘉
委 員 小田切 優子
委 員 春 日 伸 予
委 員 久保田 尚
委 員 首 藤 由 紀
委 員 水 野 幸 治
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要 旨

<概要>

平成27年6月29日2時57分頃、神奈川県足柄下郡箱根町の国道1号(箱根新道)において、
トラクタ・コンテナセミトレーラが国際海上コンテナを積載して走行中、
右カーブを曲がり切れずに左側のガードレールを突き破り、約40m 下の県道に転落した
この事故により、トラクタ・コンテナセミトレーラの運転者が死亡した
また、転落の際、トラクタとコンテナセミトレーラが分離して、トラクタから火災が発生した

<原因>

事故は、トラクタ・コンテナセミトレーラの運転者が、初めて運転する道路であったことから、
事故地点まで下り坂が約10㎞にわたり連続することを認識しておらず
エンジンブレーキや補助ブレーキを活用せずにフットブレーキによる制動を多用したことで
トラクタのブレーキ装置にフェード現象が発生し十分な制動が得られなかった可能性が考えられ、
制限速度の50㎞/h を上回る80㎞/h を超える速度でカーブを通過したところで、
曲がり切れずにガードレールを突き破り転落したことで起きたものと考えられる。

同運転者は、関東方面への長距離の深夜連続運転の経験がなかったと考えられるが、
当該事業者の運行管理者、始業点呼を実施せず、
運行の安全を確保するための必要な指示を行っていなかった
また、当該事業者は、エンジンブレーキや補助ブレーキの使用等
連続する下り坂における運転方法についての指導教育を行っていなかった
これらのことから、同運転者は、連続する下り坂での運転方法に関する認識が
不十分であった可能性が考えられ、このことが、
結果として事故につながった可能性が考えられる。
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目 次

1 事故の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2 事実情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2.1 事故に至るまでの運行状況等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2.1.1 当該事業者の代表者等からの情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2.1.1.1 当該運転者に関する情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2.1.1.2 当該運行に関する情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2.1.2 運行状況の記録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2.1.3 道路管理用カメラによる記録状況・・・・・・・・・・・・・・・・・5
2.2 死亡・負傷の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2.3 車両及び事故現場の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2.3.1 車両に関する情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2.3.2 道路環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2.3.3 天候 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2.4 当該事業者等に係る状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2.4.1 当該事業者及び当該営業所の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2.4.2 当該運転者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2.4.2.1 運転履歴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2.4.2.2 運転特性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2.4.2.3 健康状態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2.4.3 運行管理の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2.4.3.1 当該運転者の乗務管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2.4.3.2 点呼及び運行指示 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
2.4.3.3 指導及び監督の実施状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
2.4.3.4 適性診断の活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
2.4.3.5 運転者の健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
2.4.3.6 車両管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
2.4.3.7 関係法令・通達等の把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
3 分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
3.1 事故に至るまでの運行状況等の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・12
3.2 事業者等に係る状況の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
4 原因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
5 再発防止策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5.1 事業者の運行管理に係る対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5.1.1 運行管理に係る法令遵守の徹底 ・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5.1.2 運転者教育の充実 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5.1.3 事業者に対するフォローアップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5.1.4 本事案の他事業者への水平展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5.2 自動車単体に対する対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5.2.1 安全装置の導入 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5.3 運転者の安全運転対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
5.3.1 運転者の安全運転意識の向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
参考図1 事故地点道路図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
参考図2 事故地点及び転落地点見取図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
参考図3 当該車両外観図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
写真1 事故地点直前の右カーブ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
写真2 事故地点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
写真3 転落地点から事故地点を撮影・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
写真4 県道732 号線・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
写真5 道路管理用カメラからの映像・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
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1 事故の概要

平成27年6月29日2時57分頃、神奈川県足柄下郡箱根町の国道1号(箱根新道)において、
トラクタ・コンテナセミトレーラ(以下「当該車両」という。)が国際海上コンテナを積載して走行中、
右カーブを曲がり切れずに左側のガードレールを突き破り、約40m 下の県道に転落した。
この事故により、当該車両の運転者(以下「当該運転者」という。)が死亡した。
また、転落の際、当該車両のトラクタとコンテナセミトレーラが分離して、トラクタから火災が発生した。

表1 事故時の状況

〔発生日時〕平成27 年6 月29 日2 時57 分頃 〔道路形状〕右カーブ、下り勾配

〔天候〕 〔路面状態〕 湿潤

〔運転者の年齢・性別〕 47 歳(当時)・男性 〔制限速度〕 50 ㎞/h

〔死傷者数〕 死亡1 名 〔危険認知速度〕 不明

〔当該業態車両の運転経験〕 1 年8 ヵ月 〔危険認知距離〕 不明

表2 関係した車両

車両 当該車両(トラクタ) 当該車両(コンテナセミトレーラ)

定員 2 名 -
当時の乗員数 1 名 -

最大積載量 220,320 ㎏ ( 第五輪荷重111,500 ㎏ )


当時の積載量 - 19,360 ㎏

積載物品 -ポリテトラメチレンエーテルグリコール3(20 フィートコンテナ

乗員の負傷程度及び人員  死亡1 名

  1. 第五輪荷重とは、トラクタとトレーラを連結する連結器にかかる重量の上限値をいう。
  2. 11,500kg は、当該車両が国際海上コンテナを輸送するトレーラをけん引する場合の第五輪荷重である。
  3. ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、合成皮革や合成繊維などの原料として用いられている。
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※主な時刻は当該代表者の口述による。

図1 事故に至る時間経過

始業点呼 実施なし
14:00 (営業所)出庫
運転
15:00 (神戸港)出発
運転
17:00 (奈良県に入る)
運転
20:00  (愛知県に入る)
運転
22:00~23:00 (静岡県に入る)
運転
2:57(箱根町)事故発生

あいはるのメモ書き

横浜港および東京港のドレージの「常識」でいうと、
関西の配達の場合は朝6~7時に出庫し、コンテナの許可が切れるまで構内作業をする。

関西便のコンテナの許可が下りたら取りに入る。
もし昼一番に出たとして、構内仕事が暇であれば出発。
忙しければ夕方18:00くらいまで構内作業。
許可が切れなければ、夕方まで延々と待つ。
南本牧のセコンド明けで20時出発という事もある。

出発前にデジタル・タコメーターを一回抜くか、チャート紙を交換し、
その時間に出庫した事にする。事故があったならばドレージの経営者は
朝からの出勤記録を抹消する可能性が高い。


この事故の場合、出発日は日曜日です。

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2 事実情報

2.1 事故に至るまでの運行状況等

2.1.1 当該事業者の代表者等からの情報本運行における事故に至るまでの経過は、次のとおりであった。

2.1.1.1 当該運転者に関する情報

当該事業者の代表者(以下「当該代表者」という。)の口述によると、
事故に至るまでの経過は、次のとおりであった。

  • 当該運転者は、事故3日前に当該代表者から関東方面への国際海上コンテナの
    運搬業務があることを伝えられた。なお、当該運転者は、事故の前々日は休日
    であった。
  • 当該運転者は、事故前日、当該事業者の営業所(兵庫県三木市、以下「当該営
    業所」という。)を14時00分頃に出庫し、神戸港のコンテナヤードに向かっ
    た。しかし、当該事業者の運行管理者(以下「当該運行管理者」という。)から
    出庫の際の始業点呼は受けなかった。
  • 当該運転者は、神戸港のコンテナヤードで当該車両に国際海上コンテナ(20
    フィート)を積載し、神奈川県川崎市に向け15時00分頃に出発した
  • 神戸港出発後、当該運転者は、17時00分頃に奈良県に入り、20時00分
    頃に愛知県に入り、22時00分から23時00分頃に静岡県に入っている。

    出発地から事故地点まで高速道路の通行はなかったまた、出発後の休憩場所
    とその時間については不明であった。
  • 当該運転者は、神奈川県足柄下郡箱根町の国道1号(箱根新道)の下り勾配が
    連続する道路の右カーブから橋に差しかかる付近で、カーブを曲がり切れずに
    道路左側のガードレールを突き破り、当該車両ごと約40m 下の県道732号
    線に転落した。

2.1.1.2 当該運行に関する情報

  • 当該代表者の口述によると、当該車両が運搬していた国際海上コンテナは、本
    来は、横浜港に到着の予定であったが、神戸港に誤って陸揚げされたことで、
    荷主から神奈川県川崎市の事業所まで同コンテナの運送を依頼されたもので
    ある。
  • 当該代表者の口述によると、当該車両の運行計画は、当該営業所の出庫が前日
    の14時00分、神奈川県川崎市の事業所には事故当日の9時00分の到着を
    予定し、また、当該営業所への帰庫は、事故当日の22時00分の予定
    となっ
    ていた。
  • 当該代表者の口述及び荷主からの運送依頼書によると、国際海上コンテナには、
    200リットルのドラム缶が80本積載され、ドラム缶の中は液体のポリテト
    ラメチレンエーテルグリコールであった。転落の弾みでドラム缶数本が県道に
    散乱した。



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  • 当該代表者の口述によると、当該運転者のこれまでの主な運転業務は、神戸港
    のコンテナヤードを拠点とし、その近郊のコンテナヤード間を1日平均5回程
    度繰り返す運転を行っており、関東方面への長距離の運転経験はなかった
    。ま
    た、当該運転者は、国道1号(箱根新道)は初めて運転する道路であり、事故
    日前1ヵ月の勤務状況では深夜の長距離運転はなかった。
  • 警察によると、当該車両の直後を走行していた大型トラックの運転者が転落事
    故の発生を警察に通報しており、その際、同運転者は警察に対し、自車が事故
    地点のカーブ手前において約35㎞/h の速度で走行していたところ、当該車両
    に追い越されたと説明した。
  • 警察によると、当該運転者が運転中にシートベルトを装着していたかどうかに
    ついては不明である。
  • 警察は、事故当時、当該車両は80㎞/h を超える速度で走行していたと推測し
    ている。

表3 事故に至るまでの運行状況等

前々日 休日

前日 出庫 14:00

神戸港出発 15:00

奈良県に入る 17:00

愛知県に入る 20:00

静岡県に入る22:00~23:00


当日 事故発生 2:57(前日からの運転時間:8 時間57 分)

前日からの走行距離:500 ㎞※1


前日の時刻及び運転時間は当該代表者の口述による。


※1:通過の経路から当該代表者が推定した距離

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2.1.2 運行状況の記録

当該代表者の口述によると、当該車両にはアナログ式運行記録計が取り付けられ
いた。当該車両の出庫時から事故発生時までの運行状況を記録した運行記録計の記録
紙は、転落の際の火災により焼失
していた。



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2.1.3 道路管理用カメラによる記録状況

事故地点付近に、道路管理者が設置していた道路管理用カメラにおいて、
事故当日の2時57分頃、走行していた当該車両の転落する状況が記録されていた。

当該車両が右カーブを通過したところから記録されているが、
コンテナセミトレーラの右側車輪は既に浮き上がり
カーブを曲がり切れずに傾きながら、左側のガードレールを突き破り転落した状況が見られ、
転落直前には、トラクタの底面一帯が発光し周囲は明るくなっていた。

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2.2 死亡・負傷の状況 死亡1名(当該運転者)



2.3 車両及び事故現場の状況

2.3.1 車両に関する情報
  • 当該車両のトラクタの初度登録年は自動車検査証によると平成25年であり、コ
    ンテナセミトレーラの初度登録年は同平成元年であった。また、トラクタの総走
    行距離は、事故3日前の運転日報によると158,462㎞であった。
  • 当該車両には、ドライブレコーダーは装着されていなかった。
  • 当該車両は、事故地点から転落し、転落地点では転落の衝撃によりトラクタとト
    レーラに分離していた。
  • 事故後に、当該車両のトラクタの前輪のブレーキドラムを取り外したところ、
    レーキドラムの摩擦面は焼けていた
    また、当該車両のトレーラのブレーキは作
    動が確認され、焼けてはいなかった
  • 事故により、トラクタを火元とした火災が発生した。

表4 当該車両の概要

種類 けん引車 被けん引車

車体形状 トラクタ コンテナセミトレーラ

乗車定員及び最大積載量 2 名、
第五輪荷重11,500 ㎏ -、20,320 ㎏

車両重量及び車両総重量 7,090kg、18,700 ㎏ 3,460 ㎏、23,780 ㎏

初度登録年(総走行距離) 平成25 年(158,462 ㎞) 平成元年

変速機の種類 A/T(オートマチックトランスミッション)-

ABSの有無  衝突被害軽減ブレーキの有無 有 -

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2.3.2 道路環境

道路環境の状況は、次のとおりであった。

  • 国道1号の箱根新道は、神奈川県足柄下郡箱根町湯本を起点とし、箱根峠を終点
    とする延長約13.8㎞の自動車専用道路で、道路中央には全区間にわたり、追
    い越しのための右側部分はみ出し通行禁止の規制標示がされている。
  • 事故地点は、箱根新道の箱根峠から東京方面に約11㎞進行した2.8キロポス
    ト付近であり、右カーブから観音橋に差し掛かった地点である(参考図1、2参
    照)。また、箱根峠から事故地点までは下り坂が連続しており、事故地点のカーブ
    の手前約1.5㎞は、ほぼ直線の道路である。
  • 事故地点手前のカーブは、下り勾配(4.0%)で曲率半径は約90m である。
  • 事故地点手前のカーブの左側路肩には、反射材で黄、黒色の矢羽根図柄の警戒標
    示板9基、及び「急カーブ注意」と1文字毎に表示された警戒標示板6基が設置
    されている。
  • 事故地点付近に道路管理用カメラが設置されている。
  • 事故地点の道路左側に設置されていたガードレールは、当該車両が突き破ったことにより約40m にわたり損傷していた。
  • 事故地点の路面には、当該車両のブレーキ痕はなかった。
表5 事故当時の道路環境の状況

路面状況 湿潤

制限速度 50 ㎞/h

道路形状 片側1 車線、右カーブ(曲率半径約90m)、下り勾配(4.0%)

道路幅員 8.5m

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2.3.3 天候
 雨

2.4 当該事業者等に係る状況

2.4.1 当該事業者及び当該営業所の概要

当該事業者及び当該営業所の概要は、次のとおりである。

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表6 当該事業者及び当該営業所の概要

運輸開始年 平成23 年

資本金 700 万円

事業の種類 一般貨物自動車運送事業

本社所在地 兵庫県

営業所数 2 ヵ所

保有車両数

36 台(当該営業所25 台、内訳:大型20 台、被けん
引車5 台)

運行管理者の選任数 2 名(当該営業所1 名、補助者選任なし)

運転者数 24 名(当該営業所19 名)

従業員数(運転者を含む) 26 名

なお、当該代表者は、当該営業所の運行管理者及び整備管理者を兼務している。

2.4.2 当該運転者

2.4.2.1 運転履歴

当該事業者の運転者台帳の記録及び当該代表者の口述によると、当該運転者の当
該業態車両の運転経験は1年8ヵ月であった。

2.4.2.2 運転特性
当該運転者は、平成25年11月に適性診断を受診しており、診断結果に一部注
意を要する項目があった。

2.4.2.3 健康状態
当該運転者は、平成26年2月に受診した定期健康診断の結果において、一部指
摘事項があったものの、事故に影響を及ぼしたと考えられるものはなかった。



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2.4.3 運行管理の状況

2.4.3.1 当該運転者の乗務管理

当該事業者の乗務等の記録、当該車両の運行記録計の記録(事故当日の記録を除く。)
及び当該運行管理者の口述によると、当該運転者の事故日前1 ヵ月の勤務状況については、
表7及び図2のとおりであり、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
(以下「改善基準告示」という。)に定められる拘束時間の上限値超過が1件、
休息期間下限値不足が1件確認された。

なお、時間外労働等に関する労使間協定は締結されており、労働基準監督署へ届出されていた。
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表7 当該運転者の事故日前1ヵ月の勤務状況

拘束時間 254 時間40 分平均12 時間03 分/日
(事故日前1 週間41 時間00 分)

運転時間 176 時間30 分平均5 時間8 分/日
(事故日前1 週間36 時間50 分)

改善基準告示に関する基準の超過等
  • 1 日の拘束時間の上限値超過:1 件(上限値16 時間)
    休息期間の下限値不足:1 件(下限値8 時間)
  • 1 ヵ月間の拘束時間の上限値超過:0 件(上限値320 時間)
    連続運転時間の上限値超過:0 件(上限値4 時間)
  • 休日数 9 日
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図2 当該運転者の事故日前1 ヵ月の勤務状況(当該事業者資料に基づき作成)
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2.4.3.2 点呼及び運行指示

  • 当該代表者の口述によると、点呼の状況については、運行管理者1名が当該営
    業所において実施する体制をとっている。
  • 当該営業所の全運転者の点呼実施状況について、事故日前1ヵ月間の点呼記録
    簿を確認したところ、当該運行管理者は、始業点呼において、運転者に対し、
    アルコール検知器による酒気帯びの有無の確認、健康状態の良否及び日常点検
    の実施結果による運行の可否の確認を行い、運行に係る積載物及び運搬先を指
    示し、また、乗務を終了した運転者に対し終業点呼を実施しアルコール検知器
    による酒気帯びの有無の確認を行い、翌日の予定を指示していた。しかしなが
    ら、当該運行管理者の勤務時間外の早朝等に出庫や帰庫する運転者に対しては
    点呼を行っていなかった。
  • 当該代表者の口述によると、当該運行管理者は、本運行の開始となる事故前日
    に出勤しておらず、当該運転者に対する始業点呼を行っていなかった。したが
    って、当該運行管理者により、当該運転者に対して、アルコール検知器による
    酒気帯びの有無の確認、健康状態の良否の確認、日常点検の実施結果による運
    行の可否の確認、及び関東方面への長距離の運転経験がなかった当該運転者に
    応じた運行の安全を確保するための必要な指示が行われていなかった。

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2.4.3.3 指導及び監督の実施状況
  • 当該代表者の口述及び当該事業者の指導教育の記録によると、当該営業所等に
    おいて不定期であるが年間4回、運転者を4名から7名のグループに分け、ミ
    ーティングを開催し、事故事例を用いた安全運転教育、危険物を運搬する際の
    留意点や過積載の危険性等について座学による教育を行っていた。
  • 当該代表者の口述及び当該事業者の指導教育の記録によると、年間2回、運転
    者を9名から10名のグループに分け、大型トラックの実車を用いて運転実習
    講習を実施し、運転者別に運転操作をグラフ化して注意を要する項目について
    指導したり、エコドライブの基本テクニックやトラックの日常点検方法の基礎
    知識について教育したりするなどの教育訓練を行っていた。
  • 当該事業者の指導教育の記録では、大型トラックのエンジンブレーキや補助ブ
    レーキの使用等連続する下り坂における運転方法についての記録はなかった。
  • 当該代表者の口述によると、一般社団法人兵庫県トラック協会からトレーラの
    特性が記載されたリーフレットを入手し、運転者に対して指導教育を行ってい
    たが、平成25年6月に国土交通省が策定した「国際海上コンテナの陸上にお
    ける安全輸送マニュアル」については指導教育を行っていなかった

2.4.3.4 適性診断の活用
  • 当該代表者の口述によると、当該運転者に対しては平成25年11月に適性診断
    を受診させており、その診断結果については不定期ながら運転の注意を要する箇所
    について指導を行っていた。ただし、当該事業者の運転者台帳によると、適性診断
    の受診状況の項目については、当該運転者の受診結果を含め一部の運転者について
    記載がなかった。
2.4.3.5 運転者の健康管理
  • 当該事業者の健康診断受診記録によると、全運転者に対して年1回の健康診断
    は受診させていた。しかし、深夜の時間帯(22時~5時)に従事する運転者
    に対し6ヵ月以内ごとに1回受けさせるべき健康診断については、運転者8名
    中3名に対して受診させていなかった。
  • 当該代表者の口述によると、当該運転者については年1回の健康診断を受診さ
    せ、その結果、総合判定で精密検査が必要であると指摘されていたため、精密
    検査の受診について指導を行っていた。
2.4.3.6 車両管理
  • 自動車点検整備記録簿等の記録によると、当該車両は、法令で定められた日常点
    検及び定期点検整備が実施されていた。
2.4.3.7 関係法令・通達等の把握
  • 当該事業者は、運行管理等に関する各種通達は、一般社団法人兵庫県トラック協
    会より入手していた。
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3 分析

3.1 事故に至るまでの運行状況等の分析


2.1.1 に記述したように、当該運転者は、神戸港を拠点とし、その近郊のコンテナ
ヤード間を主に運転しており、関東方面への長距離の運転経験はなかったことから、
事故地点まで下り坂が約10㎞にわたり連続することや、カーブ付近の手前は、約
1.5㎞がほぼ直線の道路であることを認識していなかった可能性が考えられる。

2.1.3 に記述したように、事故地点付近の道路管理用カメラの記録によると、当該
車両は、右カーブを通過したところで、コンテナセミトレーラの右側車輪は既に浮き
上がり、その後ガードレールを突き破っていることから、カーブを曲がり切れずに転
落したものと考えられる。

2.1 及び2.3 に記述したように、当該車両は事故当時、制限速度の50㎞/h を上回
る80㎞/h を超える速度で走行しており、事故後、当該車両のトラクタのブレーキド
ラムの摩擦面は焼けていたことから、当該運転者は、下り勾配が連続していた道路で
エンジンブレーキを十分に活用せずに、フットブレーキによる制動を多用していた可
能性が考えられる。また、当該車両のトラクタのブレーキ装置にフェード現象が発生
し、事故地点手前のカーブで十分な制動が得られなかった可能性が考えられる。
以上のことから、事故は、当該運転者が、初めて運転する道路であったことから、
下り坂が連続することを認識しておらず、エンジンブレーキや補助ブレーキを活用せ
ずにフットブレーキによる制動を多用したことで当該車両のトラクタのブレーキ装置
にフェード現象が発生し十分な制動が得られなかった可能性が考えられ、このため、
80㎞/h を超える速度でカーブを通過したところで、曲がり切れずにガードレールを
突き破り転落したことで起きたものと考えられる。



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3.2 事業者等に係る状況の分析

2.1.1.2 に記述したように、当該運転者は、関東方面の長距離の運転経験がなく、
また、2.4.3.2 に記述したように、当該運転者は、事故日前1ヵ月の勤務状況は深夜
の長距離運転がなかったことから、関東方面での深夜の連続運転に慣れていなかった
可能性が考えられる。

2.4.3.2 に記述したように、当該運行管理者は、早朝等に出庫や帰庫する運転者に
対しては日常的に点呼を行っておらず、本運行の開始となる事故前日の出庫前におい
ても、始業点呼を行っていなかった。このため、当該運転者が国道1号(箱根新道)
を安全に運転するための、必要な情報、下り坂が連続しカーブが多い道路での運転に
際しての注意を要する情報を伝えておらず、適切な休憩場所・時間など深夜運行の安
全を確保するために必要な指示も行っていなかった。

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2.4.3.3 に記述したように、当該代表者は、当該運転者に対し事故事例を用いた安
全運転教育や実車を用いた教育訓練は行っていたが、エンジンブレーキや補助ブレー
キの使用等連続する下り坂における運転方法についての指導教育を行っていなかった
と考えられ、当該運転者は、この点に関する認識不足から、事故地点手前の連続する
坂道でフットブレーキによる制動を多用して運転していた可能性が考えられる。



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4 原因

事故は、当該運転者が、初めて運転する道路であったことから、
事故地点まで下り坂が約10㎞にわたり連続することを認識しておらず、
エンジンブレーキや補助ブレーキを活用せずにフットブレーキによる制動を
多用したことで当該車両のトラクタのブレーキ装置にフェード現象
発生し十分な制動が得られなかった可能性が考えられ、
制限速度の50㎞/h を上回る80㎞/h を超える速度でカーブを通過したところで、
曲がり切れずにガードレールを突き破り転落したことで起きたものと考えられる。

当該運転者は、関東方面への長距離の深夜連続運転の経験がなかったと考えられるが、
当該運行管理者は、始業点呼を実施せず、
運行の安全を確保するための必要な指示を行っていなかった。
また、当該事業者は、エンジンブレーキや補助ブレーキの使用等連続する下り坂における
運転方法についての指導教育を行っていなかった。
これらのことから、当該運転者は、連続する下り坂での運転方法に関する認識が
不十分であった可能性が考えられ、このことが、
結果として事故につながった可能性が考えられる。

5 再発防止策

5.1 事業者の運行管理に係る対策

5.1.1 運行管理に係る法令遵守の徹底

運行管理者は、運転者に対して点呼を確実に実施するとともに、初めて運転する道路や、
下り坂が連続しカーブが多い道路を運転する場合は、
点呼の際に、道路の特徴を説明し運転に際しての注意を要する情報として指示することが重要である。
また、運転者に通常の運行形態と異なる長距離運転や深夜連続運転を行わせる場合は、
運転者の生活習慣や体調などに配慮し、
休憩する場所や時間について確実に指示を行うことが必要である。

事業者は、運行管理者の勤務時間外において運行管理業務を行わなければならない場合、
複数の運行管理者を選任して交替制で業務を行わせることや、
運行管理の補助者の要件を有する者を選任し、運行管理者の監督の下に、
点呼を確実に実施することが必要である。

5.1.2 運転者教育の充実

事業者は、運転者に対して、下り坂が連続する道路で速度を低減させるときには、
フェード現象が発生しないようフットブレーキの多用を避け、
エンジンブレーキや補助ブレーキを活用する運転操作を行うことについての
実践的な指導教育を行うことが重要である。

5.1.3 事業者に対するフォローアップ

本件と同種の事故を防止するためには、事業者において、
上記5.1.1 及び5.1.2 の事故の再発防止に向けた取組を継続して行うことが肝要であることから、
国土交通省においては、今後とも適時、
当該事業者における取組状況を確認する必要がある。

5.1.4 本事案の他事業者への水平展開

国土交通省及びトラック協会等の関係機関は、
運行管理者講習、トラック事業者等が参画する地域安全対策会議や各種セミナー、
メールマガジン等により、本事案を水平展開し、
他事業者における運行管理の徹底を図る必要がある。


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5.2 自動車単体に対する対策
5.2.1 安全装置の導入
国土交通省では、自動車運送事業者を対象に安全対策への補助事業を実施しており、
最近の例では次のようなものが挙げられる。

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  • 映像記録型ドライブレコーダー
  • デジタル式運行記録計
  • 過労運転防止のための機器
  • 衝突被害軽減ブレーキ、ふらつき注意喚起装置、車線逸脱警報装置、車線維持支
    援制御装置、車両安定性制御装置
    事業者は、上記補助制度を積極的に活用し、安全対策の更なる向上を図ることが望
    まれる。

5.3 運転者の安全運転対策

5.3.1 運転者の安全運転意識の向上

運転者は、下り坂が連続する道路で速度を低減させるときには、
フェード現象が発生しないようフットブレーキの多用を避け、
エンジンブレーキや補助ブレーキを活用し、道路状況に応じた安全運転に努める必要がある。

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フェード現象についてウィキペディア
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原典 問題があるのでテキスト表示のみにします。

https://www.mlit.go.jp/common/001155172.pdf


https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi27sC948nUAhUBErwKHU8nDu8QFggnMAA&url=https%3A%2F%2Fwww.mlit.go.jp%2Fjidosha%2Fanzen%2Fjikochousa%2Fpdf%2F1563204.pdf&usg=AFQjCNFKyMy0CHBhCyIJ2EhzesS5EztkuQ&sig2=0tKL9wRq_tz_IY-p9F07kw